私の両親はまだ健在ですがいつか来るその日のために相続の手続きを調べています。
調べていて何度も出てきた言葉が「遺産分割協議書」でした。
実際に何を書けばいいのか?誰が署名するのか?雛形はないのか?まったく分かりませんでした。
まずは結論です。
遺産分割協議書は相続人全員が遺産の分け方に合意した内容を書面にまとめたものです。
法律で決まった書式はありませんが相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必要で不動産は登記簿のとおりに書きます。
この記事では一応、雛形(記載例)も載せています。ただし作らなくていいケースもある様です。
※(注意)本記事は専門家でもない私が専門家から知り得た事や個人的に調べた内容をまとめたものです。記載例は一例で状況によって適切な書き方は変わります。実際の判断は必ず司法書士・税理士・弁護士などの専門家に必ずご相談することをお勧めします。
遺産分割協議書とは
遺産分割協議書は相続人全員が遺産の分け方を話し合い合意した内容を書面にしたものです。
法律で決まった書式はありませんが記載に不備があると金融機関や法務局で手続きが進められないことがあります。
預貯金の名義変更や払い戻し不動産の名義変更、相続税の申告などの手続きで提出を求められることがあります。
作らなくていいケース
次の場合は遺産分割協議書の作成は不要です。
・相続人が1人しかいない
・遺言書ですべての財産の分け方が指定されている
・法定相続分どおりに相続する
遺言書がある場合はその内容が優先されるのでまず遺言書の有無を確認します。
作成の流れ
① 遺言書の有無を確認する
② 相続人を確定する
③ 財産を洗い出して、財産目録を作る
④ 相続人全員で話し合う
⑤ 協議書を作って、全員が署名・押印する
相続人を確定する
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍を含む)を集めて法定相続人を確定します。
ここを怠るとあとから新しい相続人が分かったときに協議書が無効になるおそれがあります。
戸籍の集め方や相続関係の整理は相続の家系図の作り方にまとめているので良かったら読んでみてください。
財産の分け方を決める
分け方にはいくつかの方法があります。
・現物分割:土地は長男、預貯金は次男のように財産ごとに分ける
・代償分割:1人が土地を取得してほかの相続人にお金を払う
・換価分割:売ってお金にして分ける
・共有分割:持分を決めて共有にする
分け方によって協議書の書き方が変わります。
土地を兄弟で分ける方法は相続した土地・家を兄弟2人で分ける4つの方法で書いているのでこちらも読んでみてください。
遺産分割協議書に書くこと
【主な記載事項】
・被相続人の情報(氏名、本籍、最後の住所、生年月日、死亡年月日)
・相続人全員が合意したこと
・相続する財産の内容(財産目録)
・分け方(誰が何をどれだけ取得するか)
・日付と、相続人全員の住所・氏名・実印
被相続人の氏名は、戸籍に記載されているとおりに書きます。
死亡年月日は、戸籍謄本などの公式な書類で確認して間違いがないようにします。
遺産分割協議書の雛形(記載例)
ここでは被相続人の妻と長男・二男の3人が相続人で不動産と預貯金がある場合の記載例を載せます。
記載例は一例でこの書き方でなければいけないというものではありません。
状況によって適切な書き方は変わるので参考程度にしてください。
【記載例】遺産分割協議書
被相続人 甲野太郎
生年月日 昭和○年○月○日
死亡年月日 令和○年○月○日
本籍 ○○県○○市○○町○丁目○番
最後の住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
上記被相続人の遺産について相続人である甲野花子(妻)、甲野一郎(長男)、甲野次郎(二男)は、全員で協議を行い次のとおり遺産を分割し取得することに合意した。
第1条 相続人 甲野一郎は次の不動産を取得する。
(1)土地
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○.○○平方メートル
(2)建物
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
家屋番号 ○番○
種類 居宅
構造 木造○○ぶき2階建
床面積 1階 ○○.○○平方メートル 2階 ○○.○○平方メートル
第2条 相続人 甲野花子は次の預貯金を取得する。
○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号 ○○○○○○○
第3条 相続人 甲野次郎は次の預貯金を取得する。
△△銀行 △△支店 普通預金 口座番号 △△△△△△△
第4条 本協議書の成立後に上記以外の被相続人の遺産が新たに見つかった場合は相続人全員で協議して取得者を決める。
以上のとおり相続人全員による遺産分割協議が成立したことを証するため本協議書を3通作成し各自が署名・実印を押して各自1通ずつ保有する。
令和○年○月○日
住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
氏名 甲野花子 実印
住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
氏名 甲野一郎 実印
住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
氏名 甲野次郎 実印
※この記載例はあくまで一例です。
分け方が複雑な場合(代償分割など)や相続人に特別な事情がある場合は書き方が変わります。
実際に作るときは専門家に内容を見てもらうとやり直しを防げます。2度手間や3度手間がかからない様にするには専門家へ依頼した方が無難です。
※記載例の「構造」の欄(木造○○ぶき2階建)は書き方のイメージです。
実際の建物は、登記事項証明書に書かれている構造をそのまま書き写してください。
「所在」「地番」「家屋番号」「地積」「床面積」なども同じです。
不動産の書き方
不動産は登記事項証明書(登記簿謄本)の記載どおりに書き写します。
住所の表記ではなく「所在」と「地番」で書くのがポイントです。
建物は「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」を登記事項証明書のとおりに書きます。
遺産分割協議書は不動産の相続登記で添付する書類のひとつです。
2024年4月から相続登記は義務化されています。
必要書類の全体は相続登記の必要書類にまとめています。
預貯金・その他の財産の書き方
・預貯金:銀行名、支店名、預金の種類、口座番号を正確に書く
・自動車:車検証に記載された車台番号や登録番号を書く
・有価証券:証券会社名、銘柄、株数を書く
後日見つかった財産の扱い
協議のあとで新しい財産が見つかることがあります。
基本的にはその財産についてあらためて遺産分割協議が必要になります。
あらかじめ協議書に取り扱いを書いておくこともできます。
【文例1:特定の相続人が取得する】
本協議書の成立後に上記以外の被相続人の遺産が新たに見つかった場合は相続人○○が取得する。
【文例2:全員で話し合って決める】
本協議書の成立後に上記以外の被相続人の遺産が新たに見つかった場合は相続人全員で協議して取得者を決める。
署名・押印のしかた
・相続人全員が署名して実印を押す
・各相続人の印鑑証明書を添付する
・複数ページになるときはページの綴じ目に契印(割印)を押す
・協議書は相続人の人数分を作って各自が1通ずつ保管する
相続人が1人でも欠けた協議書は有効に成立しません。
まとまらないときは
話し合いがまとまらないときは家庭裁判所の調停という方法があります。家庭裁判所の遺産分割調停で書いています。
相続税の申告期限(10か月以内)までに協議がまとまらない場合は法定相続分で財産を取得したものとしていったん申告・納税します。
まとめ
遺産分割協議書は相続人全員の合意を書面にしたものです。
・作らなくていいケースもある(相続人が1人、遺言書で全部指定、法定相続分どおり)
・被相続人の情報、財産の内容、分け方、相続人全員の署名と実印を書く
・不動産は登記事項証明書のとおりに所在と地番で書く
・相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必要
・まとまらないときは調停という方法がある
まず遺言書の有無と相続人が誰かを確認するところから始めてください。
記載例はあくまで一例なので書き方に迷うときは書面を作る前に専門家に内容を見てもらうとやり直しを防げます。
あわせて読みたい関連記事
・兄弟が揉める前にやること:兄弟で話し合う前に、やっておきたい準備
・相続税がかかるか確認する方法:協議の前に、相続税がかかるかを確認する
・相続手続きの期限一覧:協議から申告までの、手続きの期限
・相続登記義務化まとめ:不動産の名義変更の義務化の概要
・相続登記を司法書士に頼む費用の相場:登記を専門家に頼むときの費用
知っておくべき知識
・遺産分割協議書には法律で決まった書式はありません。ただし記載に不備があると金融機関や法務局で手続きが進められないことがあります
・相続人全員の署名と実印、各自の印鑑証明書が必要です。1人でも欠けると有効に成立しません
・不動産は登記事項証明書のとおりに所在と地番で書きます
「遺産分割協議書の書き方がわからない」「相続人が多くて何から手をつければいいのか整理できない」そういった場合は相続手続きの専門窓口に問い合わせて全体の見通しを確認する方法もあります。まず資料請求や問い合わせから始めてみましょう!!
参考情報(公的機関)
法務局「相続登記の申請義務化について」https://houmukyoku.moj.go.jp/niigata/page000001_00192.html


